「パクチーが苦手!」という人も、「パクチー大好き!」という人も、一度は耳にしたことがある「コリアンダー」という名前。
でも、なぜか最近は「コリアンダー」より「パクチー」と呼ばれることのほうが多い気がしませんか?
コリアンダーとパクチーは同じものなのに、なぜ呼び名が変わったのでしょうか?
今回は、その呼び名の変遷をたどってみたいと思います。
パクチーの別名たち(コリアンダー・香菜など)

パクチーには、さまざまな呼び名があります。
- コリアンダー(英語)
- 香菜(シャンツァイ)(中国語)
- チャイニーズパセリ、中国パセリ
- 和名(日本語)では「コエンドロ」
特に「コエンドロ」という名前は、日本に伝わった際にポルトガル語の「coentro(コエントロ)」が変化したものです。
鎖国前の時代にポルトガルから伝わり、その名残が現在の「コエンドロ」になっています。
カメムシ草という別名も

また、パクチーは独特の香りが特徴的で、その香りがカメムシに似ていることから「カメムシ草」とも呼ばれることがあります。
この名称には意外と科学的な根拠があり、パクチーにはカメムシと同じ「デセナール」や「ヘキセナール」というニオイ成分が含まれているのです。
パクチーの呼び名の歴史

「チャイニーズパセリ」とも呼ばれることから中国原産かと思われがちですが、実はパクチーの原産地は地中海沿岸です。
日本にやってきたのは約1000年前、平安時代の書物に「胡荽(コスイ)」という名前で登場しています。
その後、1980年代に起こったエスニックブームをきっかけに、日本での認知度が上昇しました。
このときにタイ語の「パクチー」という呼び名が広まりました。

さらに、2016年ごろには第2次パクチーブームが到来。
パクチーを使った調味料やお菓子が続々と登場し、NHKの『きょうの料理』では、それまで「香菜(シャンツァイ)」と紹介されていたものが「パクチー」と表記されるようになりました。
こうして、
- 1980年代のエスニックブームで「パクチー」という呼び名が浸透
- 2016年のパクチーブームで決定的に「パクチー」が定着
という流れになったようです。
「パクチー」知名度向上に貢献?DS脳トレゲーム

個人的に「パクチー」という名前が頭にこびりついたのは、2005年発売のDSゲーム『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』でした。
このゲームでは「パクチー、パクチー」と発声すると、画面の川島教授の顔がつらそうな表情に変化する、というユニークな仕掛けがありました。
このゲームをきっかけに「パクチー」という名前が印象に残った人も少なくないかもしれません。
コリアンダーとパクチーの使い分け

また「コリアンダー」から「パクチー」に呼び方が変わったというより、形状により呼び方を変えているという見方もあります。
スーパーで「コリアンダー」のスパイス小瓶を見かけたことがある人もいるかもしれません。実は、これに入っているのはコリアンダーシード(パクチーの種)です。
一方、料理で「パクチーが入っています」と書かれている場合、主に葉の部分を指します。
つまり、
- コリアンダー → 種の部分(スパイス)
- パクチー → 葉の部分(料理で使われる)
という呼び分けが定着してきているのかもしれません。
まとめ
昔は「コリアンダー」と呼ばれることが多かったパクチーですが、1980年代のエスニックブーム、2016年のパクチーブームを経て、すっかり「パクチー」という名前が定着しました。
また、「コリアンダー」と「パクチー」には、種(シード)と葉(リーフ)という使い分けもあるようです。あなたはどちらの呼び方になじみがありますか?
パクチー好きの人も、ちょっと苦手な人も、ぜひ話のネタにしてみてください!